人材育成-主体性を身につける・EQを高める

モダンエルダーな存在になる50代の職場でのあり方

今年のはじめに、知恵と経験により、職場の賢者として尊敬され、頼りにされる「新しい年長者」としての働き方について書かれた「モダンエルダー」(智恵と経験で20歳年下に頼りにされる方法)という本が出版された。

この本を見たとき、私がすぐ頭に浮かんだのは、映画「マイ・インターン」(2015年公開)のロバート・デニーロが演じた役柄。アン・ハサウェイが若きアパレル企業のCEO、写真も全て若者の会社に、インターンとして70歳にして入ったロバート・デニーロ。ITのことなど不慣れなことは社員らに教わりつつも、その人生経験、社会経験、メンタリティで、彼らに頼りにされ、彼らのビジネスの成功や個々の幸せ、自信をサポートしていいくストーリー。デニーロが演じる役柄は、経験もさながら、EQ(心の知能指数)が素晴らしかった。

この映画を観た時、自分自身も若者やクライアントなど、これから成し遂げたい女性、よりよく生き・働きたい女性にとって、こんな存在(メンター)でありたいと思い、ドリームマップに書き込んだほど。

独立する前は長年管理職として試行錯誤しつつスタッフを育成。独立後もありがたいことに、メンターとしての役割を求められることも増えてきたが、最近、クライアントの女性(海外でヘッドハンターとして働きつつ、コーチとしての副業も進めている)から、「熊谷さんは、ずっと私のメンターですから」と言われ、改めて感激した次第。

そんな私が、職場でその経験、知識、メンタリティゆえ、尊敬され、頼りにされる50代にとって必要と思えることを書いてみる。(モダンエルダーの本で書かれていることは、本で読んでいただくとして、私が実体験から感じていること)

職場などで頼りにされる50代女性に求められること

1. ただ聞く、聞いてくれていると伝わる態度で

経験があるがゆえ、皆までというなとばかり先走るのは厳禁。一見同じように思えることでも人によりそれぞれ違うもの。相手はまず聞いてくれる相手を信頼する。片手間に聞くのではなく、相手を見て、あいづちを打ったり、キーワードはバックトラック(オウム返し)するなどして、聞いているよという態度で聞く。

2. 思慮深さ

物事、出来事の表面的な面だけ見たり、短絡的に捉えるのではなく、背景や他への影響などをよく考えること。また、目に見えること、起きていることだけではなく、思いやりの気持ちで、相手の様子、表情から感情などを慮る(おもんばかる)ことも大切。

結果はどうあれ頑張ったプロセスに、ねぎらいの言葉をかけるのもいい。

3:事実に基づく判断力

何かを判断する場合、感情や、これまでこうだったという曖昧な基準ではなく、その時点での事実をもとに判断すること。また、人や自分に対して、良い悪いのジャッジをせず、その事柄、出来事にフォーカスすること。

4:受け止める

お互いに意見が異なる場合もあり、いつでも共感できるわけではない。同じ考えや意見でなくてもいいので、相手がそう思っていること、考えていることを認め、受け止める。安易な共感ではなく、安心安全な相手として関わり、お互いの意見、考えを尊重しあえる関係を目指す。

5:楽観的にシンプルに考える

仕事をしていると、次々といろんなアクシデントが起こるもの。もちろん真面目に対処はすするが、ややこしく考えすぎず、なんとかなる!と楽観的な心持ちをベースにしつつ、シンプルに考える習慣をつける。そのためにはコーチング的なアプローチで、「本当に?」「他には?」「具体的には?」「もし…なら?」など、いったん問いかけるのが有効。思い込みが外れ、見落としたり、気づけなかった解決策が出てくる可能性大。
(自分自身へのセルフコーチングとしての問いかけもできる)

例)
「絶対に間に合わない!」←本当に?

「方法は〇〇です」←他には?

「混乱している」←具体的には?

「やれる自信がない」←「自信があるときは、どんな時?今は何が違う?」

まとめ

本質的なことをいうと

・自分の存在価値を出そうと自分にベクトルを向けるのではなく、相手にベクトルを向ける
こと
・相手を尊重する気持ちを忘れないこと
・ここまでやってきた自分に自信を持ちつつ、成長する気持ちを忘れないこと

そういう気持ちでいる人の振る舞いは、自ずと周りにも伝わっていくはず。